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感傷の下北沢

過去の毛布に巻かれ、思い出の弾丸が炸裂する『風の影』を読みつつ行ったせいか
数年ぶりの下北沢はどこかよそよそしく、感傷的な気持ちにさせられた。

日々歩いた街並みが様変わりしていくのはとめようがなく
以前と同じような顔をしているけれど、中味はまったくの別人なのだった。


「闇市」と呼んでいた北口駅前市場には、レトロな立ち飲みの焼鳥屋が賑わっている。
でも、昔よくふらりと立ち寄ったあのひなびた店ではなく、いかにも吉祥寺ふうの店。
それでも再開発で根こそぎなくなってしまうよりは数百倍いいけれど。


昭和初期の建築が粋だったビリヤード場からも、もう玉突きの音は聞こえない。
最近流行りのダイニングやレトロなカフェになっていて、若い女性客がぎゅうぎゅうに詰まっている。本物の昭和の香りは二度と還らず、つくりものレトロの安っぽさが鼻についても、建物が壊されなかっただけよしとしなければ。


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そして目の前の「木曜館」は、いつから喫茶店であることをやめ、
昭和のアンティーク専門店になったのでしょう。

待ち合わせまで少し時間があったので緑道の桜を見にいってみれば
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土の道はなくなって、人工のせせらぎと、こぎれいに舗装された歩道に。

昭和40年代に暗渠にした北沢川の昔の風情を再現したもので、
川辺には野草が繁り、メダカやザリガニが棲み、トンボも飛んでくるという。
いいじゃない? と思う反面、川辺と舗道を隔てる柵や、
靴底に感じる堅さにおぼえる違和感はぬぐいようがない。
都会のガーデン、といえばそれまでなのだけれど、
小川の自然は親しくふれるものではなく、柵越しに眺めるものでしかない。
ここもつくりものの昭和なのだった。

友人と食事をした「七草」は、古い木造住宅を改築した店だ。
住むひとが去っていけば、建物は変わらざるをえない。
それでも外観がそのままに残されているのは幸福なのだとおもう。
コーポラティブハウスとして生まれ変わった松陰コモンズも稀有な例。
すぐそばにあった祖父母の家はとうになく、
人手にわたって無粋なビルに変わってしまったのだから。







 

| '07東京 | 17:59 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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