ハフポに
ジョージア・オキーフが晩年を過ごしたふたつの家の写真集新刊の記事 が出ていたので
久しぶりに本棚から引っぱり出してみた
2冊のモノクロの写真集と、画集と伝記がいっしょになった本
中央の写真集のテキストは、身のまわりの世話をしていたパッテンのエッセイ
そばにいた人間ならではのエピソードが当時の生活ぶりをしのばせ、江國香織による邦訳『オキーフの家』が出ている
左の小さい写真集はテキストはほとんどなくて
オキーフ自身と2匹の愛犬、チャウチャウの INCA と JINGO の 写真がいっぱい
そのオキーフの家を訪ねられると知って
Georgia O'keeffe Museum のサイトから
Home & Studio Tour の予約を入れたのは、東京で仕事をしていた2003年の6月
サンタフェにホテルをとり、アルバカーキ空港からレンタカーでアビキューへ
Home & Studio Tour は撮影禁止だったけど
このときミュージアムで買った上の3冊の本とポストカードが、記憶の糸をたぐり寄せてくれる
ポストカードで手元に残っているのはこの3種類だけ(ちょっと、ひとに出しづらいww)
左上 馬の頭蓋骨と白い薔薇(1931) 右上 骨盤Ⅳ (1944) 下 私の最後の扉 (1954)
10年ごとに、絵がどんどん単純化されていっている
骨盤のモチーフも、最初の絵は骨盤のフォルムが全部画面におさまっていたけれど
Ⅱ、Ⅲと描きすすめるうちにどんどん寄っていって
このⅣになると、骨盤の穴から見える青空と白い月が主役となり
絵を見ただけでは白い部分が骨盤なのかすらわからない
下の絵も絵を見ただけでは、黒い四角がドアだなんてわからない
さまざまな要素をそぎ落とし、自分が強くひかれる本質に迫り、明確に表現していったオキーフ
ポストカードの扉の絵と、実際の扉の写真
この絵はゴースト・ランチの家の寝室に飾ってあった

この黒い扉に魅せられて、オキーフはアビキューの家を買ったそうだ
絵につけられたMy Last Door というタイトル……終の棲家の扉という意味? それとも「最後のドア」って?
オキーフの家をまわるツアーは、1時間ほど
現地集合して、たしか15人くらいで、ガイドの説明を聞きながらひと部屋ひと部屋めぐっていく
キッチンの品々、本棚の本、オキーフが集めていた小石のひとつひとつもそのままに残されていて
オキーフのアートとスピリットが今も呼吸しているような家だった
ウィスコンシン州の農家に生まれて絵を学んでいたオキーフは
20代後半で23歳年上の写真家・スティーグリッツに才能を見いだされ、恋に落ち結婚
画家としてめざましい成功をおさめる
40歳の夏と暮れに、胸にしこりがみつかり手術。どちらも術後に良性と判明するもダメージを受け
さらにスティーグリッツのそばには新しい女性の影もあり
45歳のときナーバスブレイクダウン…2年間筆をおく
その頃はじめてニューメキシコを訪れ魅了され、この地の風景を描き始める
以来ニューヨークと行ったり来たりの生活に入り
オキーフ59歳のときスティーグリッツ死去
3年後62歳で、本格的にこの地に居を移す
それから98歳で亡くなるまでここで暮らした
こころが弱っているとき、ニューメキシコの荒野で自分が強くもとめるものをみつけ
ほんとうの自分を再発見したオキーフ
自分が強くひかれるもの、もとめるものがみつかってこそ、余計なものをそぎ落としたミニマルな表現ができるのだろう
絵も、家も、服も、ライフスタイルすべてにおいて
そう、最近のミニマリストの話のなかで、“私服のユニフォーム化”がとりざたされ
スティーブ・ジョブズ(黒のタートルネックにジーンズ、スニーカー)や
FBのマーク・ザッカーバーグ(グレーのTシャツ)の名前が挙がるけど
ずっーと前からすでにオキーフが実践していたのよね
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